ホーム山行記録⇒2003年2002年2001年2000年以前源流釣][温泉山行][花の山行][低山巡り][地域別][百名山
テレマークの分類→【北アルプス信越国境上信国境上越国境尾瀬周辺北信五岳周辺八ヶ岳周辺東海北陸・中央/南アルプス東北

黒部上の廊下

東芝山岳部本社支部/古田・松永・太田・塚田
1991年8月14〜17
記録/太田

8月13日(火)
 古田、松永、太田は新宿駅に21時に集合し、急行アルプス23時54の待ち合わせ場所ほ確認する。人出は思いの外少なく、待ち合わせ場所は無いとの事。発車ホームに直接荷物を置き、駅東口周辺にて山行の無事を祈って?ビールで乾杯。ほろ酔い気分で駅に戻りアルプス号に乗車、3人で1ボックスを利用し、新宿を後にした。
8月14日(水)朝一番の泳ぎ、辛い
 早朝信濃大町着、待ち合わせの塚田君と合流、彼は長野の自宅を愛車のパジェロで朝3時過ぎに出発し、1時間半で着いたとの事、長野は山に行くには便利とつくづく思う。
 塚田君のパジェロはタクシー会社の駐車場へデポし、タクシーで扇沢に向かう、6時30分乗車の予約は東京でしていたので、長い乗車券購入の列に並ぶことなく隣のクーポン券引換窓口にて乗車券と引換、荷物券も買って乗車待合いの所に並んだ。待っている間に朝食を済ます。
 かなり前に並んでいたのだが、山屋は乗車車両が指定され、座席に座ることは出来なかった、日本で唯一残っているトロリーバスに10分程度立っていると、すぐ黒四ダムに着く。美しい滝
 歩きの準備は出来ているのですぐ歩き始める。ダムの水量は豊富で、私が今までに見た中で最高の水位、朝から惜しげも無く観光放水をしている。先日欅平方面に行っていたと言う塚田君の話では、12日にかなりの降雨があったらしい。水量が多いのはその影響もあるかも知れない。
 ダムサイトを道を”平の渡し”へと急ぐ。9時40分ぐらいに到着して船頭?船長?さんを待つ、定刻の10時を少し過ぎてやっと登場。乗客は10名余り。対岸へは5分、船着場に近づくと、見覚えのある髭面が目に入った。9日より入渓した柳町山岳部の面々で、船着場が日陰のためか、私達が半袖なのに、皆長袖を着込み寒そうにしていた。詳しくは聞けなかったが、降雨による増水のため撤退したようだ。確かにダムの水位は高いし、少々不安になる。船に乗りこんだ柳町のパーティの写真を一枚撮り、皆を追いかける。
 木の梯子を何度か登り降りして、沢がタムに流れ込んでいる部分に到着。ダムの水はかなり淀んでいるが、沢の水が流れ込んでいる部分はコバルトブルーで、岩魚釣りしているボートの船底も見え、水深は良く判らない。まもなく奥黒部ヒュッテに到着。大方のパーティはこの周辺で一泊するのだが、我々の予定は口元のタル沢を越えた辺りを考えている。早々に入渓届を出し、沢の様子を聞いて、沢登りの身支度をする。主人の話では、通常の年より20cmぐらい水量が多いとの事。また、先日の降雨の時に2、3のテントが流されたとの事。まさか、柳町パーティでは無いかと思うが・・・・。
 河原を何度か、右に左に徒渉し、下の黒ビンガ手前左岸で行き詰まり、仕方無く1〜2mの泳ぎとなる。古田氏は昔来た時に、こんな所で泳いだ覚えは無いとブツブツ。泳いで岩に這い上がったものの又直ぐザブン。ウーサブイ。左岸沿いに少々の高巻きで、すぐ右岸に徒渉する、最初は誰もここが下の黒ビンガと気づかず。ついに記録を取り出して確認、日陰の為先ほどのザブンん゛効いてブルブル震えが止まらない。下の黒ビンガに着いたのは判ったのだが、皆、寒いので水に入りたくない。出来れば右岸沿いに水に入らないで行きたいのだが、ルート偵察すると、どうも無理の様だ。ここは、松永氏が思い切り良く少し上流よりザイルを付けて空身で泳ぐ。流れの分だけ余裕をもたせてザイルを繰り出す。10mぐらい流されて対岸に着くが、もう少し上流に泳がないと上陸できない。流れにザイルを引っ張られ思うように上流へは泳げない。少し水を飲んだ様だ。寒い中トップで泳いでくれた松永氏に感謝。ザイルにカラビナを通して、古田、塚田氏が渡る。40mの9mmザイルに、10mの6mm細引きを繋いで中央に8の字結びを作り、松永氏のザックを渡す。最後に太田、泳ぎは余り得意でないので、ザックと身体にザイルを付け、引っ張って貰う。上の黒ビンガ入り口
 日溜りで身体を温める間もなくザイルを回収し、又すぐ右岸へ徒渉。ザイルを付けて古田氏がトライするが、急流に阻まれ流される。ここは、安全のためハーケンを打って確保し、塚田君が空身でザイルを付け泳ぎ、皆が後に続く。16時25分この急流を越えた所の右岸でちょっとした砂地を見つけて今夜の天幕場とする。砂地なので傾斜があっても何とか2人用テント2張り分を整地する。テントを張った後は、流木を集めて焚火をし、濡れた衣服を乾かす。塚田、太田は食事の準備にかかる。今夜は古田氏持参の豚汁、味噌に付けた肉がたっぷりある。
 この間に、松永氏は竿を出し岩魚釣りを始めた。餌はイクラ、少々釣ってもかなり高い魚になりそうだ。食事の下ごしらえが出来てから太田も天幕場の直ぐ前で竿を出す。あっという間に1尾20cm級の岩魚が釣れる。やはり腕が良いのか、少し場所を変えてさらに1尾同じくらいのが釣れた。これなら何匹でも釣れるのではと思ったが、その後はぱったり。12cmぐらいのが1尾釣れたがマナーほ守り放流する。松永氏も20cm以上の岩魚を1尾釣ったが、その後は大きな奴をもう少しの所で逃がしてしまっただけ。結局4人で3匹、食事の後自然に感謝して頂いた。今日は初日でもあり、思いっきり疲れていたので酒も飲まずにさっさと寝る。上の黒ビンガ出口
8月15日(木)
 今日も天気は良い。4時30分起床、レトルトの雑炊を温めて朝食。7時出発、昨日より10cm以上水位が落ちたようだ。
 口元のタル沢出合付近で泳ぎ&へつりで順番待ちが出来ている。かなり時間を食いそうなので、太田が巻道を偵察する。大丈夫そうなので皆に登るように連絡、古田氏がフリーで登る。古田氏に下降部分の偵察をお願いして、ザイルを降ろし松永、塚田両氏を確保。ザイル確保は無くても大丈夫だったかも知れない。太田はザックを取りに降り、もう一度登り返す。巻道からの下降は細引きがセットされていてザイルは不要だった。左岸に降りてから今度は右岸に渡るのだが、先客が徒渉点を探している。対岸ですでに徒渉を済ませたパーティが徒渉点を教えたが、少し下流で腕を組み集団徒渉を試みるが流れが速くバランスを崩しあきらめる。今度は我々のパーティが先行し、塚田君が空身で泳ぐ。対岸に着くと休んでいたパーティより拍手が湧く。結局、集団徒渉に失敗したパーティも私達をまねて同じ所を徒渉。
 金作谷出合には高さ4m余りのデブリが残っていた。今年は雪が多かったのかと思う。しばらくして左岸の泳ぎがあり、その後行き詰まる。結構流れのきつい所だが泳ぐしか手は無い。右岸への岩場への泳ぎ、ここも塚田君がトップ、頼もしい。しばらくして左岸に徒渉し小さく高巻きして3mの懸垂、細引きでも可能、残置ハーケン有り。右岸の流れを強行突破しているパーティが有った。
 この後は左岸5mぐらいの水際の岩場を高巻か、右岸にチムニーに細引きがある部分の少し上流を登る。チムニーは荷物があると苦戦する。立岩手前の左岸台地に2泊目の天幕を張る。石を動かすと蟻がうじゅうじゃ出てくるので下手に整地が出来ない。今日はマトン焼肉、茄子炒め、ワンタンスープ。ちょっと酢っぱいのが気になる。
まだまだ泳ぐ 食事の後、糸を垂れてみたがさっぱりだめだった。今日は乾物を肴にウィスキーを飲む。明日の行動は新穂高に抜けるのは時間が足りそうに無いし、古田、塚田氏の足の爪の具合が悪いので、薬師沢小屋より太郎平迄とし折立に下山する事とする。
8月16日(金)
 4時30分起床、外を覗く。今日も大丈夫そうだ。7時には歩き始める。すぐ立岩、先行2パーティは立岩右岸で天幕を張っていた。2人が右岸を高巻いているのが見える。後を追って右岸へ渡る。私達も高巻くが後続のパーティは下部をトラバースしていた。右岸の岩棚を進み、その後左岸を渡る。ここも岩棚を先へ急ぐ。左岸沿いに行くと直進した形跡はあるのだが、流れが速いところに突き当たり直進は難しそうなので幅3mの急流を右岸へ続く岩へと泳ぐことにする。松永氏がトップで泳ぎ、後続は引っ張って貰う。太田は勢いが付き過ぎて岩の反対側の流れに落ちそうになる。立岩奇岩先の河原で小休止。太田は竿を出してみるが”あたり”は無い。松永氏よりの出発の合図がある。渋々餌を流しながら皆の待っている所まで帰り、竿を納める。
 しばらくは河原歩きでいつのまにかC,B辺りまで辿りつく。一部右岸の腰まで浸ってのへつり有り。岩のえぐれている下を通るので、水量が多いときは左岸の方が良さそうである。A沢手前で、左岸に渡り小高巻、4mの懸垂で下降でA沢正面河原に降り立つ。
 これで今回の遡行は終了。少し上流まで歩いて大休止、11時。皆、それぞれ行動食を食べたり濡れ物を乾かしたり、のんびりする。太田はしつこく竿を出すがあたりが無い。11時45分竿を納めようとしたら15cm級の岩魚が釣れる。逃がしてやろうとして針を調べると飲み込んでしまっている。針を取る針金を持っていたので使ってみるが思いっきり飲み込んでしまっているのでやはり取れない。取れたときはすっかり弱ってしまい、回復は望めそうも無い。そのままにするのも殺生なので今夜のおかずの足しにする事とし、腹を割って内臓を出し、塩をしてザックに入れる。
 随分、皆を待たせてしまった。薬師沢の小屋までの河原歩きだ。途中、山苺を見つけ食べながら上流へ向かう。小屋で遡行の無事を報告し、暑い山道を太郎平へ向かう。やはり沢が良いと、寒かった事など忘れ懐かしがる。途中ノーブラの女性で目の保養をしたが、バテバテで小屋着。明日のタクシーを10時に予約しテント場へ向かう。太郎平を行く
8月17日(土)
 古田、塚田氏の足が心配と言う事で6時に出発、天幕場はガスがかかっていたが稜線にでると良い天気。黒部五郎、槍、薬師の大パノラマ、稜線もいいもんだ、とルンルン気分で下山。折立間近で弱視の団体がボランティアにサポートして貰い登って行った。登る方もボランティアも大変そうだ。”頑張って”の声援が飛ぶ。9時バス停着、上半身裸となり身体を拭く。水が冷たくて気持ちいい。着ている物も電車用に着替えタクシーを探す。10時約束だったがもう待っていてくれた。さっさと荷造りし、富山まで向かう。バスと料金は4人で変わらない、ゆったり出来る分だけ特だ。運転手はその会社で売上No.1と言うだけあり、なかなか話上手だった。富山11時48分の特急で長岡に向かい、新幹線乗換、東京15時36分着。やはり新幹線は速い。
 次は奥の廊下への完全遡行を狙いたい。
以上